CFIDSを持つ子供達の両親が直面する問題

Lynn Vanderzalm

The CFIDS Chronicle, Winter 1996
掲載



 以前友人から「あなたがCFIDSに罹っていることとCFIDSに罹っている子供の母親であること、あなたはどっちが辛い?」と聞かれたことがあります。

 答えを考えるまでも無く、私の症状がすごく悪くても、AlisaCFIDSで苦しんでいるのを見るのは、私がCFIDSであることに比べてものすごく辛いことです。

 身体的、精神的な消耗、友人関係等の喪失は言うまでも無く、CFIDSによる意識の混乱や痛みに対処して行くことは、大人であっても難しく、それが子供であれば、もっと困難なものになるでしょう。私達夫婦の娘、Alisaは、9歳のときにCFIDSに罹りました。現在、それから約8年が経ち、病気に罹ってからの時間は、彼女の人生の半分になろうとしています。昨年、私達は、これまでで最も深刻な一年を迎えました。免疫系、神経系、内分泌系、睡眠のサイクルの不均衡に加えて、抑うつに起因する化学的不均衡(a chemical imbalance)も生じました。このときの彼女は、何年ものCFIDSによる疲労から激しく消耗しており、これらの困難に立ち向かって行くだけの気力はもう残っていませんでした。この時の抑うつはとても深刻で、ある晩、彼女は、これらの苦しみから逃れるため、薬を大量に飲んでしまったこともあります。

 私は、「Finding Strength in Weakness: Help and Hope for Families Battling Chronic Fatigue Syndrome*」の中で、自殺は、CFIDSの症状で唯一、死につながる症状であると書きました。それを書いたとき、私にとってこのことは、多くの情報の一つに過ぎませんでした。しかし今では実感を持ってそういうことができます。私達家族にとって、CFIDSは、生命を脅かす病気なのです。

 私と夫は、人生において危機的な段階に何度も直面するAlisaを見ていると、深い悲しみに襲われます。身体的健康や、バランスを保つ力もなしに、不安定な少女期を生きている彼女を見るのは辛いことです。その症状は、友達と電話もできなくなるくらい悪化するときもあります。そして、彼女の将来の夢は死んでしまうことなのです。それらを思うと私達は本当に悲しくなります。

 スポーツで相手と戦っているはずなのに、その代わりに子供達は激しい疲労感や痛みと戦っています。子供時代は何の心配もなしに、自由に跳ね回ることができるはずなのに、子供達は病気という障害を持っています。友達といっしょに勉強し磨かれて行くはずの思考力は、ブレインフォッグ(訳者注:頭の中に霧がかかっているようで、思考がハッキリしない様子。)に妨げられてしまいます。グループのメンバー、またはそのリーダーとなり自尊心を養って行くべき時に、ベッドやソファーの上から動くことができません。成長して行くのに友達との関係が重要になる時期に、その関係に苦しんでいます。自分の力で空へ羽ばたいて行くべき時期がきても、両親の助けを必要としています。 このような子供達を見ていることで、私達だけではなく、CFIDSに罹っている子供を持つ両親皆さんが、胸を締が付けられるような思いをしていることと思います。

 そのような年月が過ぎ、子供達が一向に回復しないことを嘆き、完全に回復するのは無理なんじゃないかという、残酷な事実に突き当たります。子供達の病状が悪化するたびにそれを嘆き、そして自分達の無力さを嘆くでしょう。

 しかし、徐々にそれらを受容するときがやってきます。そういう人生なんだと、そして、その中で最善を尽くそうと。両親は、考え方を変えて、壊れてしまった状況の真中にいる子供の全てに専念して行かなければなりません。そうすることで、どうやって逆境に対処したらいいのか、どうやって生活の中でこの病気と折り合いをつけて行ったらいいのか、親が子供達のお手本になるのです。子供達のためになる親になろうとすることで、私達は、子供達にいくつかの贈り物をすることができます。それは、信頼、援助と勇気、愛情、子供の成長への関心、生活のバランスを取ることへの関心、保護と支援への関心です。


〇子供を信じる

 Alisaが、一日ごと、または時間ごとに変わって行くようなおかしな症状を訴えても、私自身がCFIDSに罹っているため、すぐにそれを信じてあげることができます。彼女がどのように感じていたか、私は知っているからです。だから、私はそれらを直接経験したことが無い親達を大変尊敬しています。CFIDSの症状の変化は、他の病気と異なっており、子供のことやCFIDSの影響を良く知らない親達にとって、それは耐え難いものでしょう。CFIDSに関する情報を得ること、特に子供達に関する情報を得ることは、親達にとって絶対に必要です。学校、活動の量、治療、人間関係において自分で決断を下して行くために、子供が成長して行くために、「信頼」は重要になります。Bell医師は著書「The Doctor's Guide to Chronic Fatigue Syndrome」の中で次のように言っています。「CFIDSと戦う家族は、上手く機能していなければなりません。それのためには、子供と親の良好なコミュニケーション、適切な行動の管理、そして”信頼”が必要なのです。


〇勇気付ける、援助する

 「私が私の子供に送る最高の贈り物は、3つの言葉で表すことができます。それは、勇気をもつこと、さらに勇気をもつこと、もっと勇気をもつことです」、とCFIDSに罹っている娘を持つSharonPWC)はそう言います。それは、彼女を理解しよう、感情を共有しよう、自分の怒りの感情は捨てようとすることです。彼女がCFIDSに罹っていなかったらではなく、今の彼女を受け入れてあげようとすること、いつも一緒にいてあげたり、抱きしめてあげたり、色々な方法で彼女への愛情を表現してあげること、彼女に特別なことをしてあげたり、何でも誉めてあげたりするということです。


〇子供の自尊心を守る

 CFIDSに罹っている子供達は、他人からの疑いや無神経さを感じることで、身体的にだけではなく、感情的にもたくさんのことを我慢しなければいけません。」CFIDSに罹っている5人の子供を持つ母親CyndiPWC)はそう言っています。Mandyがペインセンタ−に入院しているとき、彼女を診てくれた数人の精神科医は、CFIDSという病気があることを認めず、その疑念は態度にも表れていました。彼らは、Mandyの前で何度もひどいことを言いました。私は、一生懸命彼らに説明しましたが、何も変わりませんでした。最後に、私は、彼女のカルテがつけられていること、Mandyの目の前にあるCFIDSについて議論ができる医師がいないことを確認しました。耐え難い頭痛や発作と何週間も格闘してきた彼女に必要なのは、そこでは、それだけでした。


〇子供の成長に関心を持つ

 ある家族の子供の成長への関心は、往復40mileを運転し、CFIDSに罹っている息子を、私立のキリスト教学校での授業を受けさせることに現れています。その学校では、社会的支援の輪があり、彼の障害が受け入れられ、彼が自分自身を見つけることができ、そして、その結果、授業を受けることができたのです。


〇失ったものを補う

 AlisaCFIDSに罹って以来、私と夫BusAlisaの成長に関わって行く上で重要なことの一つは、彼女が失ってしまったものを補って行くことです。両親として、私達は子供の全て―身体的な健康だけでなく、感情的、精神的な健康、心の健康、健康な人間関係も含む―を守ってあげる立場にあります。私達の目標は、彼女の生活のバランスをとることです。Alisaが演劇の授業を受けたり、演劇のクラブに入ったりすることをCFIDSが奪ってしまった時、それを補うために、古典演劇のビデオを借りてきたり、彼女の学校の演劇のビデオを手に入れたり、いくつかの有名な演劇へ連れて行ったりしました。でも、それは簡単なことではありませんでした。レミゼラブルの3時間の講演の間ちゃんと席に座っているには、何日も前からしっかり休息を取って置かなければならないでしょうし、講演の後には、何日も体調が悪くなってしまうかもしれません。彼女の14歳の誕生日の日、The Secret Garden劇場のエレベーターが壊れていて、4階の席まで階段で昇らなければならなかったときには、私達は泣きそうになっていた、とAlisaは言うでしょう。彼女の吐き気がひどく、私達は何度も、彼女が物を食べられなくなってしまうんじゃないかと心配しました。今では、ほとんどよくなり、笑顔でそのことを話せますが、そのときは、そんなことは考えもできませんでした。10年後に、Alisaが演劇や音楽の素晴らしさを思い出し、病気のことなど忘れてしまえるようになればと私達は願っています。


〇子供を応援する


 私達が子供達にあげる贈り物の一つは、彼らがやりたいことを応援してあげることです。応援するというのは、彼らの代弁をする、彼らの状況を説明する、そして必要ならば、彼らの権利を守るため病院で、地域の中で、学校で戦うことを意味しています。

 Karen Langさんは、CFIDSに罹っている子供達の教育を支援するため、広範な活動を行っています。彼女の活動は、息子のCalenを支援することから始まりました。彼女は、1994年冬のThe CFIDS ChronicleCalen's Story: A Child's Journey Through CFIDS」に経験談を寄せています。(この記事やその他の有益な情報は、CFIDS-AA"CFIDS in Children", No.6020, page 64を参照してください。)

 もしあなたの子供がCFIDSに罹ってしまったら、親としてあなたのやるべきことは、考え方を切り替えて行くことです。この病気についてできるかぎり多くのことを学ぶこと、あなたがくじけそうになった時、あなたを勇気付けてくれる同じ境遇の親達を探すこと、子供に全ての愛情を注ぐこと、衰弱させる、フラストレーションがたまる、恐ろしい病気による不安定な生活を生き抜いて行けるよう支援すること、どこでも応援してあげること、いつでも慰めてあげることです。頑張って下さい。あなたの子供はあなたを必要としているのです。

 もし、子供が人生に絶望し、自殺を考えるようになったら、あなたができること全てをしてあげてください。すぐに、自殺を扱っている精神科医やカウンセラーに助けを求めてください。感情的にも精神的にも健康であるように心がけてください。友達や家族そして自分の信念を頼りにしてください。私達は、神様がAlisaの命を救ってくれたことに感謝しています。ですが、彼女の戦いはまだ終わってはいません。もちろん私達の戦いも。そしてみなさんの戦いも。神様が弱さの中にも強さをお与え下さいますように。


*この章は、Lynn Vanderzalmの著書「Finding Strength in Weakness: Help and Hope for Families Battling Chronic Fatigue Syndrome」の中のものです。CFIDS-AAで購入することができます。(Tel: 704/365-2343


出典
The Action for ME/CFS Pregnancy Network
www.pregnet.org
Action for ME/CFS
PO Box 1302, Wells, BA 51YE

Moms in Touch
PO Box 124
Chestertand, OH 44026


(c) Copyright 2000 The CFIDS Association of America, PO Box 220398, Charlotte, NC 2822-0398 Tel: 800-44-CFIDS


ここでは許諾を得て掲載させて頂いています。



翻訳:Co-Cure-Japan, Jp-Care


Copyright © 2001-2002 Co-Cure-Japan
ご意見/ご感想はこちらまで。
Please report any problems with this page to the Webmaster.

Co-Cure-Japanホームへ