作業療法  ---CFS患者に対する新しい取り組み---

Lucy Swan, MOT, OTR and Gloria Furst, MPH, OTR

Mail Magazine ME/CFS Information, No.55, 2002.10.31

サイト:http://www.cfids.org/archives/1998/pre-1999-article02.asp
原題:Occupational Therapy -A new approach for persons with CFS-
著者:Lucy Swan, MOT, OTR and Gloria Furst, MPH, OTR



今日の社会では、疲労は多くの方に共通した問題です。またそれは、多くの病気に共通したものでもありますが、しかし、疲労が機能や感情に及ぼす影響は、ほとんど重要視されていません。

作業療法士は、病気を持つ方々の日常生活を手助けることを目的としており、これまでに長い活動実績を持っています。しかし、作業療法士にとって、慢性疲労症候群(CFS)は、これまでの疾患と異なる困難さがあり、難しい問題を含んでいます。

作業療法士によるこの複雑な病気に関する研究報告は、1994年4月に初めて行われました。作業療法士は、臨床家として、疲労、疼痛、認知障害などの症状の評価や対処の経験を持っているため、CFSによって困難な日常生活を送らなければならない方々を支援することができるのです。


作業療法士は、CFSの症状による影響を評価する様々な方法を知っています。通常、問診では、生産的活動や屋内/屋外活動にどのような制約があるかについて、これまでと現在の社会生活の問題や家族問題、優先順位、難題や心配事などについて訊ねることでしょう。

作業療法士がおこなう評価は、多岐にわたります。ある評価では、過去や将来を考えた上で、今満足を得るためにはどうしたらいいか訊ねるかもしれません。また別の評価では、疲労を伴なう場合の休息と活動のパターンを知るため、活動記録をつけるように言われるかもしれません。それぞれの状況によって項目が異なってきますが、一般に、痛み、疲労、手の機能や思考過程(認知)のより詳細な評価が含まれます。

これらの評価による結果は、日常生活と痛み、疲労、休息、身体活動の関係を検討したり、これからの目標を定めるための参考となります。そして、作業療法士は、それらに対して必要な変更や修正点についてアドバイスを行います。



○エネルギの消費

心筋梗塞や多発性硬化症や関節炎などの主要な疾患をもつ方々に対して、エネルギの使い方を指導するのも、作業療法士の仕事の1つです。作業療法士は、「エネルギの消費」という言葉を、資産を活用する時 のように、個人のエネルギー資産を活用することと考えています。患者は、日常生活で実際にどのようにエネルギが使われているかを学んで行かなければいけないのです。

作業療法士は、エネルギ消費に対する優先順位を決める方法、個人の価値観との整合を図る方法、限られたエネルギ資源を用いて最適なプランを立てる方法などのアドバイスを行います。

そして、そのプランが実行に移された後も患者と作業療法士は、その効果について定期的に評価を行う必要があります。



○治療

作業療法とは、日常生活における色々な作業や動作を、どのように行っているかを分析することです。例えば、机、台所、椅子、作業台などで無理な姿勢をとっているため、それが体力の消耗や慢性的な痛みの原因になっていないか?座ってできる作業を立ったままでやっていないか?階段を昇り降りする回数を減らすことができないか?使い易いように作業空間は整理されているか?などです。

これらのことに対して作業療法士が行うアドバイスは、簡単に実行できるものばかりなのです。例えば、木片を挟んで食卓や机の高さを調節したり、コンピュータのモニターを目の高さになるように調節したり、立っている時間を少なくするためにキャスター付きの椅子にしたり、電話に受話器の代わりにスピーカーをつけるなどです。その他、シャワー用の椅子、手すり、可動補助アーム、洋服やキッチンの収納システムなど、取り付けるには費用がかかるかもしれませんが、体力を温存しておくには大変有効となります。

また、手や手首に痛みがある場合、(たとえ痛みが取れないとしても)機能を補助し、痛みを軽減するための添え木や矯正器具の使用を勧めることもあるでしょう。

このように、作業療法士は、患者の日常生活を観察しながら、効果的に問題を把握できるようお手伝いします。それは、最も活動効率が良い方法を見つけたり、補助器具を改善したりして行くには、一番良い機会となるでしょう。


作業療法クリニックには、驚くような機器が揃っています。多くの場合、作業療法士は、キッチン、洗濯機、寝室、コンピュータやシミュレーション機器を持っています。場合によっては、より詳細な評価を行うため、作業療法士は、あなたの職場や自宅を訪れることもあるでしょう。


日常習慣を変えること、毎日の生活を変えることは、何度も繰り返し訓練することが必要だと言うことを念頭に置いておくことが重要です。そして、患者の日常生活における、活動レベルとその調整、耐久力や認知機能を改善するという個々のプランの目標を達成にむけて、作業療法士はアドバイスを行います。

住居環境や仕事、レジャーの調整などの提案に加えて、作業療法士は、活動のパターンを変えることを提案することもあるかもしれません。多くの場合、慢性疾患を持つ方々は、一番本質的で必要な活動まで諦めてしまっている場合があります。作業療法士は、多くの疾患に見られる困難で変動する多くの症状に苦しんでいる方々の生活を充実したものにするため、専門的な訓練を受けています。



○チームによる取り組み

習慣を変えて行くことは難かしい作業となるため、重要なこととして、作業療法士は、どんな場合でも、リハビリテーション・チームの一員であるという意識を持って活動しています。NIHのリハビリテーション・チームは、物理療法医(物理療法の専門家)、理学療法士、言語療法士、レクリエーション療法士、作業療法士から構成されています。

このようなチームを作ることの利点は、それぞれの分野の専門知識を持ち寄ってプログラムを作成することができるため、諸問題に多角的に取り組むことができるという点です。そして、それは、複雑なCFSへの対処法として不可欠なものなのです。

NIHのリハビリテーション局では、疲労一般に関する研究、特にCFSの主症状としての疲労に関して強い関心を持っています。Lynn Gerber医師(リハビリテーション局長)とStephen E. Straus医師(国立アレルギー伝染病研究所(NIAID)の臨床検査研究室長)は、疲労への理解と疲労度の測定能力の向上を目的として、CFS患者の機能面に及ぼす疲労の影響について共同研究を行っています。

CFS患者に対する作業療法の効果に関する予備研究により、事前に予想していたとおり、CFSは機能面に深刻な影響を与えていることが明らかとなりました。CFS患者は、その多くの症状により、一部または全ての活動が制限されてしまうことで、価値ある役割や興味の多くが失われてしまっていました。家庭内外での役割をこなしていた患者は、大きな社会的サポートを受けていることが明らかになりました。サポートを受けることにより、一日中休んでいられる日があったり、優先順位をつけて作業を行うことができていたのです。

この予備研究の結果から、CFS患者が多様で複雑な症状に対処して行くにあたって、作業療法を取り入れることで、より多くの選択肢が得られることが明らかとなりました。



○参考文献

Barrows D: Functional capacity evaluation in chronic fatigue
immune dysfunction syndrome. American Journal of Occupational Therapy
1995;4:327-337.
Dion S: The wizards of health care: the role of supportive health
professionals from a CFIDS patient's viewpoint.
The CFIDS Chronicle 1994;1:18-21.
Fukuda K, Straus SE, et al.: The chronic fatigue syndrome: a
comprehensive approach to its definition and study. Annals Internal
Medicine 1994;12:953-959.
Lucy Swan, MOT, OTR is the Clinical Coordinator of Occupational Therapy
and Gloria Furst, MPH, OTR is an Occupational Therapy Consultant in the
Rehabilitation Medicine Department at the National Institutes of Health
in Bethesda, Maryland.



翻訳:Co-Cure-Japan, Jp-Care




出典
CFIDS Association of America Home Page
PO Box 220398, Charlotte, NC 28222-0398
FAX::704/365-9755




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○作業療法について
今回取り上げた作業療法についてのサイトをいくつかあげておきますので参考にしてください。いくつかの県には作業療法士会もあるようです。また、今回の記事はアメリカの状況について書かれたものであるため、日本の状況に当てはまらない場合があると思われます。

日本作業療法士協会



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