Komaroff博士のMass CFIDS

慢性疲労免疫機能障害症候群=慢性疲労症候群の講演
1998.04.19
マサチューセッツ



 はじめに

下記は、今年4月に行われたアメリカで行われた、アメリカのCFS研究の権威 Dr. Komaroff の講演の邦訳です。 この講演に参加したアメリカの患者の レポートをもとに、日本語に訳したものです。 邦訳は、ボランティアの方の ご協力により完成しました。お忙しい中、そしてお疲れの中、献身的な作業を 行って下さった方(匿名希望)に、心から厚く感謝申し上げます。

この内容に関しましては、先に触れましたように、(一応、医学関連の知り合い の方に協力頂いて、医科学的な見地から大きく筋が違ってくるような箇所は、 チェックを頂いておりますが)何分、「(アメリカの)患者の報告を元に」 作成されたものですので、もし、6月にありますCFS研究会(東京)の議題の 一つ、「アメリカでの最新情報: Dr. Komaroff」と大きく違いが出てきました 折には、研究会で、パネラーに直接質問して頂き、また、そのお返事などを ご報告を頂けましたら大変有り難いです。(6月の研究会で、違い、あるいは、 追加の情報がありましたら、必ずこのページにご報告致します。)

尚、下記の内容にもCFIDSという名前が出てきますように、アメリカではCFS (慢性疲労症候群)の事を 「CFIDS」(Chronic Fatigue and Immune Dysfunction Syndrome: 慢性疲労免疫機能障害症候群)と呼んでおり、イギリス・カナダでは、 一般に「ME」(Myalgic Encephalomyelitis:筋痛性脳脊髄炎)と呼んでいます。 しかし「免疫機能障害」あるいは、「筋痛性脳脊髄炎」であるという科学的根拠が 立証されていませんので、CDC(Centers for Disease Control: 米国疾病コント ロールセンター)では、CFS(Chronic Fatigue Syndrome: 慢性疲労症候群) という名称を使っております。(イギリス・カナダでも、最近は、CDCが 使っております名称(CFS:慢性疲労症候群)を使い始めました。)  日本では、1992年、厚生省が調査班を発足した時点から、CFS(慢性疲労 症候群)と呼んでいます。

病名については、下記の内容の最後の方(質疑応答)で議論されていますが、 現病名では、あまりにも現実とかけ離れており、この病気をばかにした、 あるいは、この病気の難しさを医療・一般社会に認めて頂きにくい名称である 事から、世界中の患者・専門家の間で長年議論されてきています。 しかし、 今のところ決定的な科学的証拠(問題を起こしている場所、メカニズム等)が はっきりしていない事より、決定的な証拠があがるまでの間は、一応「慢性疲労症候群」と呼ぶ事になっています。(しかし、今でも、専門家の間で 病名について議論が続いておりますので、何か変化があり次第、即お知らせ 致します。)


「Dr. Komaroff の講演の邦訳」

Komaroff博士のMass CFIDS

(慢性疲労免疫機能障害症候群=慢性疲労症候群)の講演

1998年4月19日(日)

場 所:ニュートン−ウェルズリー病院(アメリカ合衆国マサチューセッツ州)

筆記者:ダイアン・ローズ(CFS患者)


――― Mass CFIDS案内―――

http://www.cais.net/cfs-news/name.htm

−新名称変更調査ー

5月12日7:30マサチューセッツ州ベッドフォード:CFSドキュメンタリー 「変だ。病気に見えないよ」上映。

CFIDSに関する全米学会、AACFS学会(研究、臨床、患者の研究会)が1998年 10月10日〜12日、ボストン、ケンブリッジのハイアット・リージェンシーで開 催される。患者の方も、3つの研究会に出席歓迎。月曜日に患者のための特別研究会 がある。Mass CFIDS割引参加費は、1日50ドル(3日間で180ドル)。 Mass CFIDS ニュースレター(最新版)に登録書類がついている。主治医も招待する ことを勧める。Komaroff博士が本学会の会長。

Mass CFIDSは、障害認定(LTD、SSDIなど)の問題と取り組む障害委員会を始めてい る。参加に興味のある方はMass CFIDSに連絡してください。


**Komaroff博士の講演**

 

昨年論文を10件発表。病因を探究し、可能な診断テストの価値を調べ、 CFIDSにおけるホルモンの役割を研究。

秋の学会を再び強調した。世界中の人々の研究の発表3部構成(10月10日(土) から10月11日(日)正午まで)。日曜日の午後の学会の発表は開業医 向け。10月12日(月)は、患者による発表。多くの研究者および臨床医が 患者とともに発表する。興味深い新しい発見がたくさん発表されることが期待 される。

 

==背景==

CDC(米国疾病コントロールセンター)の定義:重度の疲労が少なくとも6か月 続く。疲労は、今まで経験したことがないようなものであり、発症が明確であり、 休息しても疲れがとれず日常生活に支障をきたすようなもの。「かつ」以下の症状( 少なくとも6か月続いている)のうち4つ以上にあてはまる:記憶力/集中力の低下 ;痛み;寝てもすっきりしない、リンパ節のはれ;関節部分の痛み;頸部/腋下リン パ節腫脹;筋肉痛、発症後新しく発現した頭痛 ;労作後全身倦怠感。 「かつ」このような症状の原因となりうる身体的・精神的病気が存在していない 事。診断するには診断テストが必須であるが、CFS(慢性疲労症候群)以外の病気 にも診断テストの確立していない病気はたくさんある。 本来、完全な(理想的な) 診断テストというのは、1)病気をもつ「すべての」患者の異常が発見され; 2) 健康な、あるいは、別の病気をもつ「すべての」患者が異常なしとされ;3)どこの 検査機関で行っても信頼性が損なわれない;4)コストが妥当であるもの、であろう 。 CFSにおいては、まだ、現段階において、完全な診断テストは確立されていな いが、いくつかの新しい研究結果が確立の方向に向かって動いている。

 

==新しい研究結果(まとめ)==

(1)Robert Suhadolnik博士の研究:「2-5-オリゴアデニレート(2-5A) システムについて。」

ウイルスは、2つの化学物質(抗ウイルス効果)2-5AとRNaseを生産させる。 慢性的にウイルスに影響されている患者には、この2つの化学物質が高レベルで 存在することが予想される。健常者とCFSの患者を調べた結果、この化学物質が 健常者よりもCFS患者に、かなり高いレベルで存在した。CFS患者の白血球は、 患者が感染症を患っているかのように活動している。

次に、Suhadolnik博士は、このテストのバリエーションを研究した。 CFSにおける、「分子の重さが軽い2-5Aの蛋白結合について」であるが、 健常者と比較した場合、CFS患者の約50%に見られるが、健常者では0%で あった。 ただ、発表された研究には、ほんのわずかな被験者しかおらず、 その他の疲労を伴う病気の患者はテストされなかった。しかし、フランスの 研究所で似たような結果が得られている。(J Interferon Cytokine Res 1997;17:377)

2つの異なる研究所が2つの異なる被験者を研究し、同じ結果を得ているが、 これが良い診断テストになるかどうかははっきりしない。現段階では、この 検査を行うのが難しく、どこの研究・検査機関で行われる検査とは言い難く、 単に、身体的に異常が存在する事(CFS患者の思い過ごしなどではなく) を示し、免疫系が関与しており、ウイルスがなんらかの役割を果たしていると いうことを示唆する最新の客観的生物学的テストというだけである。 しかし、診断テストにつながる可能性はある。

(2)L. Tan博士の研究:「CFSにおける抗核自己抗体(ANA)」(Konstantinov K 他 J Clin Invest 1996;98:1888より)

ANA (抗核自己抗体)は、細胞の中に付着する抗体。数多くのCFS患者と健常者を 比較した。健常者よりもCFS患者にはるかに多くのANAが見られた。さらに重要な ことは、下記の詳細な結果が得られた事である:抗体が細胞のどの部位に結合してい るかの発見である。Tan 博士は、特殊な自己抗体が細胞の特定の場所に付着している ということを 見つけた。この研究が支持できるものであれば、それは良い診断テストになる であろう。しかし、このテストで特徴が示されるのは、CFS患者でも50% のみである。(それでも健常者よりかなり高い確率である。)従って、まだ 診断テストとしては使えないが、それでも実際の身体的異常のさらなる証拠である。

(3)「CFSにおける視床下部脳下垂体の異常」 Bakheit AM他 BMJ 1992;304:1010 Cleare AJ他 J Affect Disord 1995;35:283-9 Sharpe M他 BMJ 1997;315:164 Demitrack MA他 J Clin Endocrinol Metab 1991;173:1224 Dinan TG他 Psychoneuroendo 1997;22:261

この研究では、うつ病の脳化学はCFSとは逆であることを示唆した。 CFSではACTHの放出が抑えられているが、うつ病では高レベルである。また、 CFSではプロラクチンが多く放出され、うつ病では少ない。CFS患者における、 脳の器質的異常の客観的な証明であり、CFSの異常はうつ病の異常とは異な るものである。

(4)「労作後全身倦怠感(PEM)」

健常者と違い、CFSでは、身体的労作に続いて(通常労作の途中や直後では なく次の日以降)症状が著しく増悪化する。疲労、筋肉の弱化、記憶/集中力、 リンパ節の腫脹、発熱など、すべての症状が身体的労作(たとえ適度な身体的 労作であっても)により増悪化される。

Tuftsの Dr. Komaroffと他の医師はこの原因を見つけようとした。 そこで、 免疫系の特別の部分(Interlukin-1、IL-1)がCFS患者では異常であると いう仮説を立てた:「CFSでは、労作後全身倦怠(PEM)を誘発させるきっかけと なる脳内化学反応が見られる」という仮説である。彼らの予想とは異なる異常が 発見されたが、基本的には予測していたものが見つかった:労作後全身倦怠(PEM) を引き起こす異常な免疫反応である。研究結果は数ヶ月前に発表された。また、 彼らは、別な免疫系についても調べてみた。免疫系とは「非常に」複雑な システムである:まるで軍隊のように、いつ攻撃を始め、いつ中止し、どこを攻撃 するか、などの指令を、各々の免疫系部隊に命令するために、厳密にコントロール されていなくてはならない。彼らの仮説は、「免疫系に何の理由もなくスイッチが 入ったことにより、免疫系は、恐らく、そのスイッチを(TGFベータを用いて)切ろ うとしている」というものである。

彼らは、CFSを別の病気(全身性エリテマトーテス、うつ病、多発性硬化症(MS) など)と比較した。CFSでは、TGF-ベータの値が、全身性エリテマトーテスや多発 性硬化症より高かった。TGF-ベータの値が高いという事は、免疫が、かなり活発に活 動しており、その活動のスイッチを切ろうとしている意味である事は、 よく知られている。

(5)「CFSにおける性ホルモンの影響」 (CFS患者のリスクにおける、婦人科的要因の影響:ケースコントロール研究 Bernard L. Harlow, Lisa B. Signorello, Janet E. Hall, Teresa H. Doolittle, Christine Dailey, Anthony L. Komaroff)

CFSの患者の3分の2は女性である。女性は男性よりも自己免疫疾患にかかる 率がかなり高い。彼らは女性の性ホルモンを研究した。American Journal of Medicineに今月(1998年4月)この研究が発表される。女性のCFS患者は、 健康な女性よりも9倍から10倍高率で、ホルモンの異常を報告している。 このような異常は、排卵の問題を伴う女性の一般的なパターンに合致するもの である。

多くの女性のCFS患者は、体毛、母乳(適切でない時期)、子宮内膜症、子宮 繊維症 、卵巣嚢胞 、生理の不規則周期、及び、周期の喪失、生理時以外の出血、 集中力の低下を高率に起こす。しかし、このような問題は、必ずしもCFSになっ てから始まるとは限らない事より、現在さらに研究が進められているが、これは、 CFSにかかっている女性の、長期(生涯)にわたるホルモンの相違、及び、女性 ホルモンの相違が、なんらかの形で免疫系に影響する事を示唆している。

(6)「感染原因ウィルス」

毎年、多くの人々が感染原因となるウィルスを研究し、疑いを抱いている。 Komaroffは新しい感染原因ウィルスのみがCFSの根本的な原因であるとは思って いない。 複数の原因ウィルスが、ある役割を担ってはいるが、それ自体のみが 原因ではないと考えている。ライム病、伝染性単核増加症、パルボウイルスや Q熱にかかった後CFSを発症したケースがいくつかある。このように、よく 研究されている感染症にかかった後CFSの症状が持続した人がいるという、 充分な調査記録は、「一般に知られている病気がCFSの引き金になる」ことを 示している。

[Q熱について]: オーストラリアで行ったQ熱のテストでは、Q熱にかかった後CFSの症状が何年 も持続した人がいるということが示唆された。彼らは、その症状をCFSではなく QFSと呼ぶ(が、どちらも同じものである)。彼らは、また、ある特別な免疫化学 物質(Interlukin-6, IL-6)が、直接疲労のレベルと一致するということを 見い出している。

[レトロウイルスについて]: 約5年前、Dr. Elaine DeFreitisは新しいレトロウイルスを発見したようで あった。Komaroffの見たところでは、彼女の最初の論文以来、これを証明した研究 は1つもない。まだその研究は続行されているが、今のところ、これは研究の有望な 分野であるようには見えない。(科学分野においては、いつ新しい発見があるか わからないものであるが....)

[Martin博士の「ステルスウイルス」に関する研究]: Martin博士は、いくつか論文を発表したが、それらは一握りの事例を説明したのみ である。(Martin博士は多くの事例を研究したと言っているが。)これは望みの ある研究分野であるとは思わない。

[ボルナウィルスについて]: ボルナウイルスは、動物に感染するウイルスであるが、この2年の間に、人にも 感染するということが示された。動物では、ウイルスは脳に到達し、感情、記憶、 集中力、慢性衰弱に関連する。ボルナウィルスの研究者は、CFSにおけるボルナ ウイルスの果たす役割の可能性を研究しているが、現時点で明らかな証拠はない。

[ヒトヘルペスウィルス6(HHV6)]: いくつかの、CFSのケースの原因として可能性があるとして、11年間研究 されている。HHV6は、健康な人や衰弱疲労を伴う別の病気の患者よりも、CFS 患者の細胞内のほうに多く再活性 が見られる。これは病因なのか症状なのか? HHV6は脳に感染することがある。研究では、CFSに影響している可能性がある ことが示されている。また、HHV6は、新たに感染した時、一過性脳症候群を引き 起こすことがある。そしてHHV6は免疫系が衰えた時に再び活性化することがある。

[注:HHV6は、90%の人が(健常者でも)出生後発育過程で、不顕性感染、 あるいは、風邪症状として感染している、最もありふれた感染ウィルスの ひとつである。]

HHV6は培養された神経芽細胞種やcligoma細胞に感染する。乳幼児や幼い子供には、 初期感染の後、神経性続発症が起きる。完治後、中枢神経(CNS)に潜伏ウィルス として存続する。免疫抑制状態にある患者にとっては、脳障害を引き起こす原因 となる。骨髄移植を受けた人やエイズ患者の脱髄斑を伴う。 多発性硬化症(MS)患者の中には、脳脊髄液にHHV6 DNAがあることが、PCR検査法 により確認された者もいる。

多発性硬化症(MS)における2年間の研究が、HHV6とMSの間に強い関連がある ことを示した:亡くなったMS患者の脳と亡くなった「健康な」患者の脳の調査。 HHV6がMSで役割を担っているならば、幾人かのCFS患者に対しても、役割を担っ ている可能性が高い。

(7)その他有望な最近の研究:

(i)Natelson博士は運動負荷試験を行い注意力を測定した。CFSでは、運動の後 12時間から24時間の間に集中力の低下がはっきりと示唆された。

(ii)新しく発見された細菌(マイコプラズマincognitus)がCFSにはより多く 見られる事もある。

(iii)新しく発見されたウイルス、ボルナ病ウイルスも、より多く見られるかもしれ ない。

(iv) CFSはQ熱と呼ばれるよく研究されている感染の後にも起きる。

(v) CFSには、特種な活性化CD8やT細胞が多く存在する。

(vi) コルチゾン点滴補充療法の研究は役に立たない。(当然、コルチゾンの     レベルはCFS患者では少し低い。)

(vii) 免疫グロブリン療法は役に立たない。一応効果が見られた研究が2つ、全く効 果を示さなかった研究が2つ。現在わかっている範囲では、免疫グロブリン療法はC FS患者への一般的治療には適さない。

 

 

<質疑応答>:(患者の質問とDr. Komaroffの答え)

 

(1)Bell博士のCFSにおける循環血液量の低さについてですが?

   「CFSの血液量の低さについては、聞いたことがありますが、このような 研究の科学的発表は見たことがありません。人が身体の健康を損なった時、 血液量が減るということがありますが、CFSが引き起こす血液量の減少が どのくらい大きなものかはわかりません。CFSと「カウチポテトの(運動 があまり好きではなく、ジャンク・フードを食べてTVの前でゴロゴロして いる [注:当然、運動をする人より循環血液量は少ない。])健康な人との 比較研究をしてみるのも良いかもしれません。」

(2)CFSにおいて脳が関与しているならば、心理療法はどのくらい効果的 ですか?

「私自身の経験では、心理療法、特に認知行動療法が、患者が病気にうまく 対処していくのを助けるのに大変役立つだろうと思っています。多くの慢性 衰弱疾患にあてはまることです。また、うつ状態になるCFSのサブグルー プがあり、彼らにはたぶん抗うつ剤、かつ/または、心理療法が、役に立つ でしょう。しかし、心理療法で、治ったCFSの人は知りません。」

(3)CFSが進行性ではない事についてですが?

「慢性で、不可避で、回復不能の悪化状態はありません。9年間にわたり 450名の患者(患者の大多数はCDC定義にあてはまる)を追跡しました が、慢性の神経変性を示すケースは見たことがありません。」

(4)セント・ジョンズ・ウォート(SJW)の使用についてですが?

「これは、うつ状態を抑える自然(ハーブ)治療薬です。ドイツでは、 SJWがうつ病の治療に一番良く使われています。私の知る範囲では、 毒性はなく、うつ状態の症状には試してみる価値があると思われます。」

(5)抗ウィルス剤の使用については?

「CFSを起こしているのは単一の新しい感染ウィルスであるとは考えて いません。発症の引き金となるものはたくさんあり、抗ウィルス剤が薬が 1つあれば良いというものではないと思います。CFSの中にはHHV6が 病気を持続させているものがありますが、その説が正しければ、現在HHV6を 治療するのに使われている抗ウイルス薬がいくつかあるので、そのような 一部のCFSのグループには役立つかもしれません。しかし、それは現在 研究中です。」

(6)生理周期が長期にわたり不規則な人(CFSにかかる以前からの人も)の生理 が規則正しくなれば(例えば、避妊ピルを飲んで)、CFSの症状が軽くなりますか?

「この質問についての答えは知りませんが、試してみることは無謀なこと ではありません。女性のホルモンについての論文が4月か5月にAmerican Journal of Medicineに発表されます。」

(7)PWCには(エイズのように)二次的な感染はありますか?

「いいえ。エイズには(非常に弱まった免疫系につけこんだ)多くの 二次的な感染が見られますが、このようなことはCFSでは見られま せん。」

(8)See博士(UC Irvine)が使っている治療法 Ambrotoseについて何か知って いますか?

「これについては何も知りません。一般にどのような治療法や主張に ついても言えることですが、それを試してみる前に、よく研究される まで(それに害がないということがわかるまで)待ってください。 科学的な方法で研究されなければなりません。」

(9)あなたは今まで比較する時に病気のグループを多く使いましたが、なぜ (就寝時)無呼吸症と比較しないのですか?

「無呼吸症は、患者への影響の仕方においてCFSとはあまりにも異なって います。CFS患者の睡眠に関する研究はたくさんありましたが、無呼吸症はそのグループにあまり見られませんでした。」

(10)講演中に述べられた感染症(例えば、ボルナ病、HHV6など)の血液検査を うける価値はありますか?

「いいえ。同じ感染ウィルスに対して、様々なテストがたくさんあります。 これらのテストは簡単には利用できませんし、一貫性のある検査結果が 出ていません。 たとえ、陽性の結果だからと言ってそれがあなたに何を 伝えるかは明らかではありません。(検査はその感染ウィルスに関する 様々なことを検査するだけですので。)従って、今のところ、答えは 「いいえ」です。」

(11)クラミジア肺炎についてですが?

「ウイルスのようであり細菌のようです。私はこの菌を見つけ研究した 研究者たちの1人です。何年も前、私はこれがCFSを引き起こしている かどうかを研究しました。クラミジア肺炎がCFSの原因であるかという事と その治 療法を研究しているテネシー州のグループがいますが、この仮定を 実証する科学的な発表も論文もありません。クラミジア肺炎の治療に役立つ 可能性 のある抗生物質はあるので、(治療法があるという視点から)クラ ミジア肺炎がCFSの原因であるという、彼らの説が正しければ良いとは 思います。しかし、現時点では、この治療法は(CFSに対し、効果がある という証拠もなく)ひどい副作用を起こす可能性があります。

(12)身体的異常が多々見られる中、なぜ人々はCFSをストレスが引き起こした 病気にしようとするのですか?

「ストレスが「多くの」身体的な病気に負の影響を与えている可能性が あると考えています。ですから、何かが「ストレスにより誘発される」 ということが、それが思い過ごしであるというわけではありません。 CFSがストレスにより「引き起こされる」という証拠はありません。 しかし、多くの身体的病気のように、CFSがストレスにより悪化する ということはありうるでしょう。」

(13)CFSの事例数は「まだ増加中」なのですか?

「CFSが「増加している」という真剣な科学的証拠はありません。ある 特定の時期に限った研究はあります。(その時点では1000名につき 大人1名)。過去にどのようであったかはわからないので、増加している かどうか言うことができません。確かにCFSは今までにないほど世間で 認識されるようになってきました。何百年もの間(何千年でなければ)存在 していたと考えています。近年になって興味が再復活してます。意識は高 まっていますが、事象が増加しているかどうかはわかりません。」

(14)Interlukin-1に影響する身体的労作についての研究ですが、どこに ありますか?

「Journal of Clinical Immunology (Joseph Cannon博士が最初の著者 (創始者))にのっています。」

(15)PWCに高血圧は見られますか?

「一般で見られるよりも多くありません。何かあるとすれば、高血圧 よりも低血圧のほうが多い傾向があります。」

(16)TGFベータに関する論文はどこにありますか?

「1997年のJournal of Clinical Immunologyに のっています。」

(17)Suhadolnik博士の研究が発表されるのはいつですか。もう何年もたってい るような気がしますが?

「それほど長くたってはいません。(充分研究する必要があるので。) Suhadolnik博士は、この10月に学会で報告する予定だと思います。 そしてたぶん、1999年には論文が発表されるでしょう。(しかし それは、Suhadolnik自身の問題、使命です。)」

(18)自律神経系(ANS)の異常が原因ですか、あるいは影響していますか?

「自律神経は心拍数、血圧、体温などに影響します。この分野での 最初の研究は、NMH(神経媒介低血圧)に関するもので、Johns Hopskins で行われた、体位傾斜台テストによるものです。CFSでは、 体位が 傾斜した時、普通の人よりも血圧が落ちる傾向があります。それは、 CFSの症状の原因なのか? 自律神経の異常は、おそらくCFSの 一部の症状の原因でしょう。しかし、それがすべての症状の説明になる とは考えていません。これらの問題は病気の影響であると考えています。 問題は、こうした症状に対してどのような治療法の研究が出てくるか ということです。」

(19)名称の変更については?

「大変難しい質問です。現在の名称は、この病気をささいな、つまらない ものとし大変悪い名称です。しかし(身体の中で何が起きているのか を明確に指摘するような)さらに良い名称が提案されない限り、名称は 変更すべきではないと思います。すでに「慢性エプスタイン・バー(慢性 EBウィルス感染症)」から「慢性疲労症候群」に変更されました。 再び変更することは、多くの人々を混乱させ、医者の信頼性を失うかも しれません。私自身は、良い提案があり次第、名称の変更にまっさきに 賛成投票するつもりです。」

(20)視覚の異常について、どのようなものをCFSで経験しましたか?

「多くの患者が焦点がぼやけるといった経験をしています。詳しく研究 されてはいませんが、焦点を調整するのは、水晶体に付着するわずかな筋肉が おこなっているためと考えています。 CFSでは、この筋肉に疲労が起こり、焦点を調整する能力に影響しているのだと   推測しています。 盲目や他の永久的な問題の観点からは 気づいたことがありません。」

(21)例えばリタリンのような覚醒作用のある薬の使用価値は?

「そうしたものは、乱用されることがあり、患者が常用するようになる 可能性があるので(やめられなくなる、あるいは、症状が悪化する)、 私は使用しません。より良い科学的テストで証明されるまで、そうした ものの使用は推奨しません。」

(22)アルコール依存症になったことがある患者とCFSの関係は?

「多くの患者はアルコールに堪えられません。私には、アルコール依存症 とCFSの発症の間には、何の関係も見出せません。」

(23)この病気が伝染するという証拠はありますか?

「大多数の患者が(身体的リミットから)他のCFS患者との身近な 接触をもっていません。(従って、十分情報がない。)しかし、20世紀 の最初以来、世界中に一連の感染症が発生し、そこで多くの人がCFSを 発症しましたが、そのような集団発生が、本当に今日のCFSと同じ病気か どうかを知ることは難しいです。同じだとすれば、一連の集団発生があった ということになります。そして、それは、その病気が感染するものであると いう意味にもなり得ますが、一方、だれもがさらされている環境の中にあるありふれた何かが病気を引き起こしたという意味にもなります。 感染ウィルスがその引き金になることがあるという証拠はありますが、 私は、CFSには免疫異常の素因があると信じてます。多くの人にとって 何でもないウィルスが、免疫異常の素因をもっている人には、CFSを 引き起こす原因になることがあります。それが私が今できうる推測です。」

(24)メラトニンの使用については?

「メラトニンは睡眠を助ける働きをする、脳内で自然に作られる化学物質 です。CFSでは研究されたことがありません。害があると示されたこと はありませんが、CFSの方に言っておきたいのは、たとえば、7年前、 L-tryptipan(L-トリプトファン)は薬局で処方箋なしで買えるサプリ メント(栄養補助剤・健康食品)でしたが、汚染(コンタミネーション) の問題があり、一 握りの人がひどく具合が悪くなったということがあり ます。FDA(米国食品医薬品局)」はこのようなサプリメントを規制 しないので、サプリメントには害がないとか、高品質の(汚染されてい ない)ものが出回っているのかなど、誰にもはっきりとはわからないの です。 私は、十分に研究されていない、処方箋なしで入手できる製品には 用心しています。」

(25)アドレナリンとCFSを研究している人はいますか?

「5年前ニューヨークの誰かが研究していましたが、今はいません。」

(26)Q熱は、ポリオ・ウイルスに関係がありますか?

「いいえ。」

(27)身体的労作の翌日以降の痛みの性質と集中力の低下に関係がありますか? 「はい。脳の化学物質の変化に関係していると考えていますが、 今のところ証拠はありません。」

(28)薬(あるいは、自然治療薬)があまり身体に合わない患者は、薬を 続けるべきですか?

「私の経験では、CFSは化学物質(特に脳に作用する物質)に普通より 敏感です。脳の細胞が物質に敏感なのだと思います。この病気は大変 混沌とした難しい病気なので、良い主治医がいて、治療薬を勧められて いるならば、ごく少量から試してください。2、3日様子を見て、副作用が 消えていくかどうかを見てください。(CFS患者は、身体に慣れるまで、 多くの薬に対し、副作用が数日間現れます。) 副作用という犠牲を払うことがあるかもしれないということを、いつも 認識しながら、効果があるかもしれない新しいことを試すように、 患者の方には激励します。 あなたが、これから行おうとしている 治療が副作用という形の犠牲を払うだけの価値があるものかどうか、 (症状か、副作用かどちらに重きを置くか)いつも十分、医師と相談の 上検討し、注意深く選択・決定して下さい。」




翻訳:Co-Cure-Japan, R.Kageyama


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