慢性疲労症候群患者の手術時(全身麻酔)の注意点

ある慢性疲労症候群患者Marjorieの手記より



私は今年の六月、子宮内膜症の組織摘出の手術をした。私の場合、慢性疲労症候群と、NMH(Neurally Mediated Hypotention:神経性低血圧)に加えて、POTS(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome:体位性起立頻脈症候群)を併発している。

手術を受ける患者として大切なことは、執刀医だけでなく、麻酔医と直接、話をすることである。

注:上記にある“Neurally Mediate Hypotention”(NMH:神経性低血圧症)は、Neurocardiogenic syncope(心神経性失神)、あるいは、Vasodepressor syncope (血管抑制神経性失神)と同じもの。全て同じものを指すらしいが、ただ、全員が全員失神するわけではないので、「失神」という言葉の代わりに、「血圧が“非常に”低くなる」という共通点を強調した命名をしたにすぎない。


POTS (Postural Orthostatic Tachycarida Syndrome:体位性起立頻脈症候群)は、心拍数が、立ち上がったときに30以上増えることである。(Dr. Bell や Dr. Streeten の研究がよく知られている。)また、次のウェブにたくさん情報がある。http://www.ndrf.org/


[neurally Mediate Hypotention, Neurocardiogenic syncope, Vasodepressor syncope は、全て、一般に “Orthostatic Intolerance”(起立性不耐性症)と呼ばれるものの一種である。]


(訳者注:Johns Hopkins Universityによる、世界的に著名な研究、「NMHについての情報」は、同大学より翻訳許可が下りており、近々このページに掲載する。)神経性低血圧症(NMH)の原文は下記のページにある。

http://www.med.jhu.edu/peds/cfs.html http://www.cfids.org/chronicle/medical/nmhqa95.html

下記は、慢性疲労症候群の患者が手術を受けた後の、症状(慢性疲労症候群)の増悪化を最小にとどめる為に考えられる事項を、実体験に基づいてまとめたものである。


1)手術を受ける前に、自分の体調について麻酔医にも情報を送る。

普通(アメリカの場合)、病院は、手術を受けようとする患者の病歴などについての記述式質問書を送ってきた。こういう場合、書式にとらわれず、どんどん、必要な書類など(自分の体調などの詳しい情報)を添付することである。

私は、「傾斜テーブルテスト(神経性低血圧(NMH)症診断用)の結果」、「24時間のホルター・モニターの結果」(24時間心電図のようなもの)、そして、「慢性疲労症候群の際気をつけなければならない“麻酔薬についての情報”」を添付した。


2)手術を受ける前、麻酔医と直接話をすること。

すべての不安点や気になる事柄について麻酔医と話し合うこと。私の場合、担当の麻酔医と前日話をする機会があり、彼は非常に良く話を聞いてくれた。また、その担当の麻酔医は、私が送っておいた全ての文献に目を通してくれ、麻酔薬を必要最小限の量に押さえてくれると言ってくれた。(例:「麻酔前鎮静剤はなし」など、そういった内容)


3)足に血液が溜まるのを防ぐため、大腿部高圧迫機(これが医学用語で正確かどうか?)を使った。

この方法は、患者の血圧を落とすのを防ぐために役立つ方法とされている。これらの特別な器具は、病院から支給された。病院側では、手術を行う直前、(つまり、患者をガウンに着替えさせ、点滴を始める直前)に、この装置を装着させた。また、普通(アメリカでは)、麻酔医は、手術前夜、患者と話すチャンスがなかった場合、手術の前に様子を見に来る。(一般にアメリカでは、点滴を始める「その人」が担当麻酔医である。)


4)可能性のある「血液凝固問題」を予防するために(私の場合は、家族に静脈炎の病歴があり、母方そして祖父には潰瘍の家族病歴あり)、医師たちは、私に、空気加圧機のようなものを取り付けた。(この装置について正式名は知らないが、丁度、「血圧を測る時に巻く椀帯のようなものの“脚用”」) -- 空気は圧力を増加させる時に入れられ、圧力を減らすときに排出される。

これを装着している時、とても変な気持ちがした。私の場合、音が気になって仕方なくて眠れない場合のことを考えて、前もって耳栓を購入していたのだが、耳栓を使って良かったと思った。(膨張・収縮のパターンは一定でなく、とてもじゃないが、一般のホワイト・ノイズに混ざってくれる種の雑音ではなかった。)


5)私の場合、(アメリカの病院なので)本来手術当日に退院のはずなのだが、一晩病院に入院せざるを得なかった。理由は、医師たちが投与してくれた、生理食塩水の点滴にも関わらず、血圧の低下を伴わずに立ち上がることが出来なかったからである。 もし、あなた(手術を受けようとしている慢性疲労症候群の患者)が、神経性低血圧症(NMH)や、POTSの症状を併発している場合、必ず「生理食塩水の点滴」を頼むこと。あるいは、単に「めまい」や「だるい」と表現するだけで、普通に必要な以上に、生理食塩水の点滴を投与してくれるだろう。

私の体調は、翌日の午後には、「OK」だった。病院では、回復のために十分横になって休ませてくれる時間をくれるよう頼むこと。(アメリカの場合)、いくつかの病院では、“手術の種類によって”「外来扱い」になっているので注意すること。


“慢性疲労症候群を発病する前に”、腹腔鏡手術を受けたことがあるが、その時は、手術のために病院に滞在した時間は、数時間以内。そして、たった3日間、週末だけの休息で翌週の月曜日には、もう働いていた。

しかし、慢性疲労症候群の患者の手術からの回復は全く異なる(はるかに回復が遅い)。従って、病院と保険会社に「自分は、普通よりはるかに回復の期間が必要である」ということを理解してもらうように。理解のある医師がいる場合、上記の事実を証明して、手紙に書いてくれる。
私の場合、めまいや、吐き気もなく、具合がひどく悪くならずに「1−2時間以上、単に座っていられるようになるまで」、何週間もかかった。

今、手術後6週間目で、ようやく、手術前の状態まで戻ったと感じる。(子宮内膜症の痛みは全く消えているから、私はこの手術は完全に成功だったと考えている!)

注:手術当日と常用薬について。ところで、私の場合は、慢性疲労症候群の対症療法として、常日頃、フロリネフ(酢酸フルドロコルチゾン:Florinef:、商品名:フロリネフ)を使っている。子宮内膜症の手術の際、私の麻酔医は、常用薬であるフロリネフを、手術の日の朝、いつもの服用量、少量の水と共に服用することを許可してくれた。「手術の当日には、どの薬も服用出来ない」など勝手に決め付けないで必ず麻酔医に尋ねるように。(注:執刀医に尋ねないこと。常用薬と麻酔薬との相互作用の問題は、執刀医にとっては専門分野ではない。)

この情報が役にたちますように。全身麻酔を受ける全ての患者さんの幸運を祈ります。もし、あなた(慢性疲労症候群の患者)が“自律神経にも機能障害がある場合”、全身麻酔は良いことではないですが、少なくとも、副作用を軽くすることは出来ます。                                                           

Marjorie



翻訳:Co-Cure-Japan, R.Kageyama


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